造り手と向き合い、玉乃光らしい熟成の味わいを育てたい。
「酒は人が造るもの。杜氏が見つめる、熟成酒RINGのこれから」- 杜氏 白崎 哲也 –
玉乃光酒造株式会社 杜氏
白崎 哲也(2000年入社)
製造現場一筋で経験を重ね、2017年に杜氏へ任命。五感と人の動きを見つめながら、玉乃光らしい食中酒と、これからの熟成酒造りを支える。
白﨑さんは、入社から現在まで、どのように玉乃光の酒造りに関わってこられたのでしょうか。
入社してからは、一貫して製造現場で仕事をしてきました。
20代の頃は、杜氏を目指そうというより、目の前の仕事を普通にこなしていた感じです。
30代になってから、ようやく杜氏の仕事に興味を持つようになりました。
2017年に杜氏に任命されましたが、当時は責任も重く、精神的に厳しい時期もありました。
40代になって、ようやく全体を見渡せるようになってきたと感じています。
玉乃光の酒造りの中で、大きな転機だったと感じることはありますか。
以前は、但馬の方から杜氏や蔵人さんに来てもらって、社員と一緒に酒造りをしていました。
ただ、蔵人さんの高齢化や担い手不足もあり、外部から呼ぶ杜氏制度を弊社では見直すことになりました。
その翌年から社員だけで造る体制になったのですが、現場はかなり大変でした。
酒造りの経験が少ない人もいる中で、急に体制が変わったので、戸惑いもありました。
その中で、杜氏として大切にしてきたことは何ですか。
酒造りは、見る、触る、嗅ぐ、味わうといった五感が大切です。
ただ、杜氏になってからは特に「見ること」を意識するようになりました。
酒の状態を見ることはもちろん、人の動きや現場の流れを見る。
酒は人が造るものなので、人をよく見ることが大事だと思っています。
熟成酒ブランド「RING」の話を聞いたときは、どう感じましたか。
面白いと思いました。
時間を経たお酒が、今どのように変わっているのか。
味にどんな変化が出ているのかには興味がありました。
熟成香が強いお酒は、正直に言うと得意ではありません。
ただ、環境が良ければ、香りを損なわずに、味のまろやかさや深みを楽しめるお酒になると思います。
RINGは、一般的な熟成酒とは少し違う方向を目指していますよね。
そうですね。
色が濃く、香りや味が強い熟成酒というより、玉乃光らしく、食事に寄り添える熟成酒であることが大切だと思います。
低温で静かに熟成させることで、香りが強く出すぎず、味わいが丸くなる。そういう方向なら、玉乃光らしい熟成酒になると思います。
これから熟成酒を造っていく上で、意識したいことはありますか。
香りを強くするというより、味に変化を出せる熟成酒ができたら面白いと思っています。
そのためには、麹の造り方や酵母の選び方、米の選定が大切になります。
今あるRINGは、玉乃光がこれまで大切にしてきた酒質と、低温熟成の相性を見つめ直すところから始まっています。
これからは、熟成を前提にした酒造りをさらに深めていくことになると思います。
お客様には、RINGをどのように楽しんでほしいですか。
熟成酒なので、やはり時間を感じながら飲んでほしいです。
「この年に造られたお酒なんだな」と思い返しながら、自分の時間と重ねて楽しんでもらえたら嬉しいです。
これから、どんな酒蔵にしていきたいですか。
社員が笑っている酒蔵がいいですね。
造っている人が笑っていれば、お客様に対しても自然と笑顔が出ると思いますし、その笑顔がお客様からも返ってくると思います。
そういう酒蔵にしていきたいです。